それは今から約45年ほど前の出来事でした。当時親元を離れて東京の大学へ通っていた私はある日、サークル仲間の同級生男子（Ｋ君とＨ君）2人と一緒に下校、千葉県方面の先輩の家へ行くために総武線の黄色い電車に乗っていました。

　当時はまだＪＲは発足しておらず日本国有鉄道、総武線の車両は今のようなシルバーボディに黄色のラインが入ったものではなく、全体が真っ黄っ黄ぃの電車でした。 さて男子3人が千葉方面へ向かおうと乗り込んだその黄色い電車には偶然、同じサークルの後輩女子（Ｆさん）が乗り合わせておりました。

　サークル仲間の4人は電車内で他愛のない話をしていましたが、やがて我々男子3人の目的地より先に、Ｆさん自宅の最寄り駅に電車は到着。彼女はホームへ降りた直後、まだドアが閉まらないうちに一言、

と言い放ち、総武線各駅停車の車両内ほんの一部の空間に、私とＨ君のざわめき、それとＫ君のわずかばかりの優越感を置き去りにして改札口へと向かって行ったのでした。　勿論Ｋ君の「人気」は「女子の間で」という事。

　今のようにスマホもパソコンもＳＮＳも無い時代です。これ以上の詳しいことはＦさんから聞くことはできず、「後日改めて」なんて野暮な話しをする気もなく、「一体何だったんだ？」という記憶しかありません。あ、もうひとつ「俺もこんなん言われてみたいわ」とも感じまし・・・ん？

　そういえば何か記憶にありますよ、知り合いの女子が去り際に放った一言、私にも・・・。あれは確か中学生の頃、放課後の部活を終えて帰ろうと、一人で廊下を歩いていた時、正面から同じクラスの女子が一人で歩いてくる。すれ違いざまに「じゃあまた明日」の意味を込めて「よっ！」と言いながら軽く右手を上げた私に彼女が一言

Ｋ君とえらい違いや・・・。